下剋上受験の原作のおおまかなあらすじ
全巻読破した僕が語ります!
原作は事実に基づいたドキュメンタリーなので、作り話みたいに派手な物語とかストーリーというよりは、勉強方法やいかに苦労したか、という話。そして、子供との向き合い方について多くのページが割かれています。
派手な話が少ないのは、本当に毎日勉強していて家に引きこもっていたからです。外に出て人とのやりとりの話はあんまりありません。娘との勉強のやりとり、そして父が死に物狂いで発狂寸前になりながら頑張る姿、勉強を通して様々なことを親子で学ぶする姿です。
かなり面白かったです。父親がイライラを抑える薬や、うつ病になってさらに薬が増える話は驚きました。睡眠不足になりながら必死で頑張る親子の姿は本当に目を見張るものがあります。
読み終えて思ったのが、「俺ももっと頑張らないといかんな…こんなに頑張ってる人たちがいるのだから」です。
ドラマでは色々とライバルがいたり、会社の後輩とのやりとりがあったりして脚色されてます。原作は地味ながらも(実際、勉強ばかりであまり外に出なかったので、地味になるのは仕方ないのですが)、強い情熱を感じる話ですごく面白かったですし、親子の絆と頑張りに感動しました。
結果は不合格でしたけれど、第二希望で偏差値70前後の私立中(豊島岡女学園?)に通っていますし、勉強を通して親子ともに物凄く成長できたので、ハッピーエンドで私はいいと思います!
では、あらすじいってみましょう。
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序章『絶望と猛追』
画像引用元 http://erecipe.woman.excite.co.jp
下剋上受験の父親・桜井信一は、中卒のサラリーマン。信一の父も母も両方とも中卒。そして、妻の桜井香夏子も中卒。まさに純粋な中卒の一族なのです。
信一は、今では落ち着きましたが元不良です。中学校に上がって、勉強に急についていけなくなり不良化。高校なんてどこ行こうが気にしてないぜって風にツッパってはいたものの、内心かなり不安を覚えています。
結局、受験すれば誰でも入れるワルの吹き溜まりのような高校に進みますが、本当に周りのレベルが低いことに嫌気がさしてしまいます。勉強なんてやってて意味あるのか?こんなところに通ってて、自分は意味があるのか?
そう考えて、高校1年の夏には退学し、仕事を始めます。しかしどれも転職を繰り返し、結局賃金の低い会社に諦めて収まっています。そんな自分を信一は錆びた自転車に例えています。駐輪場で誰からも必要とされることなく、あきらめて朽ち果ててしまった錆びた自転車に。
妻の香夏子も中卒。信一もかなり頭が悪いのですが香夏子はもっと悪い。そのバカさ加減は『渋滞情報5km』を『ケータイ情報5km=携帯の電波が5kmしかとどかない』と解釈してしまうほど。
一方、娘の佳織は割と真面目な子で、学校でも時々100点をとって帰ってくるし、平均80点は安定して取れる子です。両親とも、まぁこの子はそれなりに出来るし、高校もちゃんといくのだろう、と思っていました。
しかし、ある日模試を受けてみると『偏差値40』の結果に。受験生が2万人いるのですが、かなり後ろの方でした。これにショックを受ける信一。こんな真面目な子が、こんなに後ろだなんて・・・!
信一は、中卒であることに本当に苦労してきました。自分は馬鹿だから。頭いい人みたいになれない。夢をみちゃいけない。ロクな人生じゃない。こんな目に、娘を遭わせてはならない。だから、俺の代で中卒は終わらせる。
そして、中学受験をすることでいい大学に行かせたい。努力すれば何とかなるんじゃないか。と、信一は考えます。
第一章 こんな場所にいてはいけない
画像引用元 http://powerapple.at.webry.info/
信一は、佳織に提案します
信一「このままではマズイよ。勉強しようぜ。佳織、勉強頑張ってみないか?父さん色々調べてみるから」
すると、いきなり妻の香夏子がそれを遮断します。普通、夫婦で相談してから子供に話すのが筋なので、妻がイラついたようです。
香夏子「はぁ?調べるって何を」
信一「塾を・・・」
香夏子「小学生から?早くない?何必死になってんの?」
という会話をしますが、中卒同士なので会話のキャッチボールがいつもドッジボールになってしまいます。中卒なので建設的な議論が出来ないのです。これは喧嘩になると思い、信一は話を辞めます。
信一はインターネットで塾を調べ始めますが・・・そこには信一の知らない世界が広がっていてショックを受けてしまいます。中学受験の塾のネット掲示板を見ている信一ですが、そんなところに書きこむのは当然高学歴な親たち。
リアルでは高学歴な人との接点がない信一ですが、高学歴な人が書いた意見とか文章を見て衝撃を受けます。
信一「この人たちはとんでもない語彙を操って暮らしてる!!」
信一は職業に貴賎なし、という書き込みを見ますが、それがどういう意味なのか分からない。この人たちは、「俺ってこんな言葉知ってるんだぜ」という自慢じゃなく、当たり前のように使っているのか・・・
語彙だけではなく、考え方、生活スタイル、年収、貯蓄、、、高学歴層のすべて、自分たちと全然違う!高学歴の人間というものを丸ごと見てしまい、とてつもない劣等感に襲われます。
やっぱり、佳織をこんなところにいさせちゃだめだ。佳織はこのネットの人たちみたいな語彙を操って物事をきちんと考えられる、幸せな人になってほしい。中卒は俺の代で絶対に食い止めなければならない!!
強くそう思うようになります。
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マーチ大では割に合わない
信一は、中学入試について調べますがいまいち要領を得ず、塾に話を聞きに行きます。しかし、塾の担当者はいつも偏差値50くらいの中学校を指さして「頑張ればまだここならいけます」というのです。
しかし、偏差値50の意味が分からない信一。その中学校からの大学進学実績を見ても、信一はイマイチ容量を得ないのです。なんか違うんだよなあ。。。
ある日偏差値ランキングの一番上の桜蔭中学校の進学実績を見てビビります。東大67名、早稲田慶応も200人近く?これヤバイじゃないか!!これだ!!これこそ俺が考えていたエリートってやつだよ!!
しかし、そんな名門の中学校。親も裕福じゃないと入れないのかなと考えています。中卒の親がいる子供なんて、そんなところに入れないんじゃないか?そう思った信一は、進学塾に電話をします。
信一「すいません、あの~桜蔭中学校って、親が裕福じゃないと入れないのでしょうか?大学を出てない親でも、子供は合格しますか?」
担当者「大丈夫ですよ。親の面接もありますが、ほぼ合否に影響はありません。純粋な学力勝負になりますよ。」
信一はこの言葉が信じられず、たくさんの塾に電話をしますがやはり帰ってくる言葉は同じ。自分でも色々調べてみましたが、親が裕福だったり、大卒じゃないとダメ、という情報は一切出てきませんでした。『中学入試は家庭環境はあまり関係ない。純粋な学力勝負だ』と信一自身も結論を出します。
信一は佳織を中学受験のため、塾の入塾テストを受けさせます。その結果を見て驚愕。全然ダメダメなのです。これじゃ、塾に入っても一番下のクラスに取り残されて金をとられるだけ・・・桜蔭中学校は無理だ。
俺は、子供を塾にやってそれで満足して終わりなのか?そんな親にはなりたくない。佳織が進む道に先回りをして道しるべを記してあげる親になりたい。俺自身、どこまで桜蔭中学校が難しいのか分からない、その距離が知ってみたい。頑張ってみたい。だから、塾にはいかない。佳織と一緒に、親塾でやっていく!!
小学校5年の夏休みの夜、信一は佳織に語り掛けます。
信一『佳織が頑張ってみるんじゃなくて、一緒に頑張ってみないか?佳織は小学校と受験勉強を頑張る。父さんは仕事と受験勉強を頑張る。佳織が解くドリルは全部父さんも解くし、佳織だけにさせるドリルなんて一枚もないと約束する。日曜日もない、お休みもない。これから1年5カ月、本気でやってみないか。お父さんも一緒に頑張るから。』
こうして、二人で桜蔭中学校を目指して勉強を始めるのでした。
第二章 中学受験というギャンブル
画像引用元 http://www.bookbank.jp/
中学受験を始めると決意した信一は本気の行動を始めます。まず、中学受験に必要となる参考書をネットで調べて買いに行きます。あれも必要、これも必要…と買いそろえていくと、教材だけで6万円になってしまいます。
しかし、信一はそれ以外にももう4万円、ネットオークションで中古の教材を大量に落札します。もちろん妻は大激怒
香夏子「あんた、ドリルに10万円って、バカなんじゃないの?」
インターネット上で知り合った、中学受験を終え最難関の男子校に合格した子のお母さんから、段ボール3箱分の教材を無料でもらいます。さらに鉛筆や消しゴムも最高級品を購入。桜井家が一気に参考書だらけになります。
難関男子校に合格した子の、お古の教材を見て信一は驚愕。なんと、一つ一つの参考書に、大量に母親らしき字で書き込みがあるのです。息子が間違えた問題は全て母がチェックし、書き直していることが分かり、その量が膨大にわたることもわかりました。
信一「負けない!俺は負けないぞ。」
この書き込みは全て息子への愛情。愛情だけなら、自分が佳織を想う気持ちは負けない。この母親以上にこれから頑張らなくてはいけないのだ。
中学受験に無関心な人
ある日、信一は親しい友人からの遊びの誘いにこれから乗れなくなるとして、連絡を入れます。
信一「すまん、これから1年半ほど、一切遊べなくなるから」
友人「はぁ?お前何やらかしたんだよ!空き巣か?窃盗か?いつまで刑務所なんだ」
信一「違う違う、中学受験をしようと思ってるんだよ」
友人「まだ佳織ちゃん、5年生だよな?中学校に入学するのは来年だろ?」
信一「受験勉強しないといけないんだよ!」
友人「えっ?もしかして、佳織ちゃん、いじめられてるの?」
信一は中卒なので周りのレベルも低い。中学受験というものがよく分かっておらず、周りの子と別の中学校に行くと言えば、いじめられている、という発想しか出てこないようだった。
信一「エリートを目指すんだよ。一生懸命勉強してね」
友人「馬鹿になりたくないってのは分かったけど、だからと言ってなんでいきなりエリートなんだ?」
信一は、確かに、と思った。馬鹿になりたくないから中学受験するにしても、だからと言って、なぜいきなりトップクラスの桜蔭中学校を目指すんだ?分相応な偏差値50くらいの中学校でいいじゃないかというのは最もな意見だ。その理由は二つある。
一つ目は、自分の目で子供がエリートになるを見たいということ
だけど、信一の家庭は中卒家庭だ。これを徐々に上げていくんだったら、子供の佳織が普通の高卒。孫が大卒。ひ孫が中堅クラスの大卒。玄孫の代でようやく難関大学卒、となってしまう。それじゃだめだ。そんなぬるいことをやっているからいつまでたっても中卒なんだ。俺は自分で自分の子がエリートになるのをこの目で見たいんだ。
二つ目は、桜蔭中学校は女子生徒にとって文句なしの難関だということ
中学受験業界ではどこからが難関だという線引きがなく、人によってここは難関だ、中堅だと意見が分かれてしまう。そんな中学校では、これからの苦労に見合わない。しかし、桜蔭中学校はどの偏差値表を見ても、ほぼ最上段に位置しており、誰もが認める難関中学校だ。だから、ここを目指す、ということだ。
元から賢い子がいるのよ
画像引用元 http://buzz-netnews.com/
香夏子「元から賢い子が、そういう中学受験とかはやるのよ。だからあなたがやっても無駄」
香夏子「大きな夢は見ちゃいけないの。人は、勘違いしちゃいけないの。出来ないことを頑張っても絶望しか残らないし、頭がいい人を羨ましがらなくてもすむでしょ。」
香夏子は佳織に中学受験を辞めるように説得する。完全に中卒の考え方だ。これらだから佳織は中卒にしたくないんだ、と信一は思う。でもやっぱり、元から賢い子と、賢くない子というのは確実に存在する。じゃあどうすればいいのか。信一は考えた。
賢い子や出来る人のマネなんてやっても意味がない。僕たちがやるべきなのは、「馬鹿な人が失敗するパータンを避けること」なんだ。どう考えてもダメなパターンの行動さえしないように心がければ、成功できるんじゃないか。
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第三章 異常な水準の世界
画像引用元 http://o2o.abeja.asia/
難関中学を受験する子供たちの高すぎる学力水準に、信一は驚愕することになる。たかが小学生がやる算数と思っていたが、とてつもなく難しい。
難関中学は、賢い子供たちが受験する。問題をちょっと難しくしたりひねったりしたところで、すぐに満点をとる子たちが出てしまう。だからさらにひねる。それでも満点を取る集団が出てしまう。
ちゃんと差がつくようにどこまでも難しくしていく。そうすると、もはや普通の小学校で教えている内容とはかけ離れたものになってしまっているのだ。確かに、小学校の授業の範囲内ではあるが、問題が難しすぎて、対策をしていなければ大学生でも解けないだろう。
受験勉強を開始
信一と佳織の受験勉強が始まる。まずは問題集の最初の計算から・・・制限時間10分で解く問題が、15分~20分ほどかかってしまう。
信一は全問不正解。佳織は3問だけ正解。そして見直しをするが・・・見直しをしていると、結局10問の見直しに45分もかかってしまう。
それでも、信一は何度も繰り返しやればなんとかなると思っていたが、、、同じ問題集を10日程、佳織に解かせても、正解率は上がるものの、やっぱり時間は15~20分ほどかかる。
これ、10分以内にやらないといけないのに・・・どうするんだ?信一は考えます。ここで役に立ったのが『中学入試 計算名人免許皆伝』という本。
中学入試計算名人免許皆伝 [ 石井俊全 ]
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この本をきっかけに、佳織たちは一気に計算問題が出来るようになる。
例えば
165×32を解く時。これは165×2×2×2×2×2 と計算すれば、330、660、1320、2640と暗算でも解ける。
こういうのを全てひっ算で解いていたので時間がかかっていたことが判明。それからは10問を8分で全問正解できるようになった。
勉強するための工夫
算数でも特殊算というジャンルがある。つるかめ算、仕事算、年齢算など。その中でもやっかいなのが速度算だった。太郎君が次郎君が出発した後、分速50mで追いかけて・・・という計算方法だ。難関中学の場合、途中で太郎君がとまったり逆走し始めたりするから手に負えない。
また、仕事算では、Aさんは12日で終わる仕事、Bさんは15日で終わる仕事があり、最初にAさんだけが7日間やって残りはAさんとBさんで仕事をした場合、Bさんが仕事をしたのは全体の何割か、、、みたいな問題。
これを理解するために信一は何度も徹夜することになる。あらかじめ徹夜して理解してから娘に教えるために、かなり時間がかかってしまうが仕方がない。速度算では結局夏休みの宿題に例えて速さの問題をたくさん作って解かせ、それども対応できなくなると、すごろくに例えて問題を作成し、何度も解いた。
睡眠との闘い
画像引用元 http://oyajitechou.com/
受験勉強は最初は7時から12時までという取り決めだったけど、あれも足りない、これも足りないとなってきて、やっていると結局夜中の1時、2時になってしまう。佳織はいつも眠そうにしている。そして復習をすると、全然できない。本当に教えたことが全然身についてない。
信一「なぁ、どうしてここまでダメなんだと思う?怒ってるんじゃないんだ、相談しているんだよ。」
佳織「どうって言われても・・・」
信一「気合いが足りないのかな?睡眠時間が足りないのかな?」
話しあって、信一と佳織は朝方の受験勉強スタイルに切り替える。夜は9時に寝て、朝は4時に起きてやるスタイルに。しかしこれもダメだった。結局佳織は6時までまともに頭が働かず、出来るのは1時間くらいだったのでやめた。やっぱり夜型に戻すことに。
毎日夜遅くまで勉強の日々。父親も娘も眠い。だけど、きっと一緒に眠いよね、と感じることが大事なメッセージになるのだと信一は思った。
勉強の楽しさに気づく
理科をやっている時、浮力の単元で佳織も信一もつまづいた。浮力ってなんだ?なんで浮くんだ?全然分からない。
そこで、信一は風呂場でゴムボールを沈めてみる。1cm沈めても1cm表面が高くならない。なぜだ?分からないので、風呂を満タンにして、ゴムボールを入れて水が流れた。
こういう作業を繰り返して、信一はようやく浮力のイメージを身に着けることが出来た。何で船のような鉄の塊が、水に浮くのかが理解できた。
子供には、わけもわからず船に乗る子になってほしくない。きちんと、船が水に沈んでいる部分の水のかさの重さよりも、船自体を軽くすれば浮くということを知ったうえで船に乗る子になってほしい。
そして、勉強はこんなに面白いんだということを知ってほしい、と強く思って、布団の中で両手で顔を覆った。
第四章 本当のバカを理解してほしい
画像引用元 http://acchanno.exblog.jp/
第四章では、信一がイライラしすぎて病院に行く話、立て札の話、金髪の子がいる教室の話です。
信一のイライラがマックスに
親塾の最大のデメリットは、感情的になってしまうことだ。何度も何度も必死に説明しても、分かってもらえないし、しばらくしたら忘れる娘にキレてしまう。
信一「何度も説明しただろうが!」「どうしてこんなことがいつまでたっても出来ないんだ!」
と罵声を浴びせてしまい、終わってから「またやっちまった。。。あんなに一生懸命頑張ってくれるいい子なのに、なんてひどいことを言ってしまったんだ・・・」
と何度も反省することになる。しかし、やはり教えてるのが自分の娘というだけあってどうしてもイライラしてしまう。そこで、ある日、信一はイライラを抑える薬を処方してもらいに行くことに。
信一「すいません、イライラを抑える薬を処方してほしいのですが」
何と、信一は中学受験のために変な噂を流されないよう、遠方の医者まで来ていた。
医者「どうしたのですか?事情を教えてください。」
信一「いえ、薬だけ処方していただければよいのですが・・」
医者「横流しして売られるとマズイので、事情は聴く必要があるんですよ。」
信一「実は妻にかなりイライラしてまして、このままだったらDVをしてしまいそうで…」
信一は、受験勉強していることを知られたくなかったので、妻へのイライラをでっちあげて薬を処方してもらうことになる。そしてそれ以降というもの、薬をパクパク飲みまくることになる。
勉強を始める前にパクッ!佳織が問題を間違えたらパクッ!おやつのようにパクパクとイライラ止め薬を飲んでいく。そうやっていくうちに、どんどん不安になってくる。薬に体を浸食されている気分になってくる。
だが仕方ない。このままでは中卒が中卒の子供を産むサイクルを断ち切ることはできない。これはその代償なんだと、強く自分に言い聞かせた。
立て札のようにしつけるべし
画像引用元 http://indy.main.jp/
国語の文章を読む時には、具体的な文章と抽象的な文章を分けて答える必要がある。例えば、
「~~線部の自体が楽観できぬ」というのは具体的にどのような理由がありますか?20字以内で書きなさい
という問題に対して、
模範解答『教師が青木の言い分を信じていないこと』
佳織の解答『自分も嫌疑をうけることになった事態』
となっており、こういう場合にどちらが正しいのか分からない。この場合、『具体的にどのような理由がありますか?』という問いなので、抽象的な佳織の解答は不正解なのである。
こんな感じで、国語は具体と抽象の文章を分けて読む必要があるのだけど、どうしても難解な文章になるとそれを忘れてしまう。そして、何度も同じように
信一「具体的な文章と抽象的な文章を分けろ」
というのだが、全然理解してもらえない。そして何度もおなじことで叱ってしまう。
ここで信一は気づく。これ勉強も子育ても一緒だな、と。信一は昔母親に、食べた後に食器は片づけなさいと毎日のように言われていた。でも、信一は全くできずにいつも「何度言ってもわからない」と怒られていた。
でも、そもそも信一は反省なんかしていなかった。ただ叱り終えるのを待っているだけだった。今の佳織も同じ気持ちなんじゃないか?
そもそも反省しないなら立て札を置いておけばいいのだ。テーブルに「食器はかたずけること」と立て札を置いておけば忘れることはないのだ。というわけで、信一は立て札作戦を実行した。国語を解くときは、抽象と具体を分ける!と立て札を立てておく。
この立て札作戦はうまくいき、佳織の正答率は上がっていった。信一は、子育てと受験はよく似ていると痛感した瞬間だった。
さらば金髪の小学生
画像引用元 http://yzyz05-wanwan.blog.so-net.ne.jp/
佳織の小学校には、金髪の小学生が何人かいる。そういう子たちの親は、参観日にタンクトップに刺青を入れたような格好で来る。本当にバカだと思う。参観日はスーツにネクタイでビシっと決めてくるものだ。最悪でもジーンズとシャツまでは許せる。でもさすがにタンクトップはないだろう。
そいつらは、何と運動会の時に酒を持ってきて宴会を始めるのだ。煙草も校庭に捨て、挙句の果てにはピザの宅配まで頼んでしまう。こういう人たちとは絶対にかかわりたくない。
また、見た目がまともでも中身がヤバイ、モンスターペアレントも大量にいる。こんな環境が耐えられない保護者は、中学受験で私立中学を受けて逃げていく。だけど、本来逆であるべきだ。
馬鹿なやつらのために、馬鹿を集めた私立中学校を作って、そこにヤンキーやら不良やらを集めてしまえばいい。そこに通うのが、不良のステータスみたいにすればいい。優秀な生徒がなぜわざわざ試験を受けてまで、逃げなければならないのか。。。
佳織には、常識を持った母親になってほしい。こういうやつらとは無縁の母親になってほしいのだ。
第五章 父さんは人柱になる
画像引用元 http://www.techbang.com
第五章では、信一がうつ病になる話、ペンだこと腰痛になる話、ミスしないことの大切さの話という構成になっています。
大昔、自然災害が発生したときなどに、選ばれた巫女が人柱となって災害を鎮めるという伝説が残っています。信一は佳織が中学受験に合格するためならば人柱となって今すぐ死んでもいい覚悟です。まさに死ぬ気の中学受験です。
信一がうつ病になる
信一は、医者に処方してもらった、イライラを止める薬を毎日、柿ピーを食べるかのようにポリポリ食べていた。本当に薬漬けの毎日で、娘にうまく教えられないイライラ、眠気からくるイライラを抑えていた。
そんなギリギリの状態で戦っていたせいか、何だか精神がおかしい。信一は医者にかかることにした。
信一「なんだか不安なんです。玄関のドアをしめたか、明日のごみの日を忘れないか、そんな些細なことがきになっていつまでも考えてしまいます。」
こうして信一とうつ病の戦いが始まった。うつ病と言っても軽度なので、そこまで勉強や仕事する気力がないなんてことはない。イライラを抑えるとともに、毎日大量の精神安定剤を飲みながら、受験勉強を戦った。
ペンだこ&腰痛になる
画像引用元 http://blogs.yahoo.co.jp/
佳織も信一も、4時間睡眠で毎日長時間勉強しているせいか、ペンだこが出来てしまう。
佳織「前からペンだこが出来て痛くて勉強しにくいの」
信一「父さんもだ。新しいペンを買いに行こう」
信一は、佳織に新しく、柔らかいグリップのペンを買ってやった。しかし信一は同じペンを使い続けた。生まれて初めて勉強しまくって出来たペンだこを誇りに思っている信一だった。
佳織「ずっと勉強してるから背中が痛い。腰も痛い。父さんみたいにシップが欲しい」
信一「分かった。シップをあげよう。整形外科も行こう。」
信一は自分がうつ病になってしまい、睡眠時間も足りていないので佳織の体調がとにかく心配だった。
佳織「明日、体育で5段の跳び箱するの。4段なら飛べるんだけど。。。」
信一「バカ、手を捻挫してペンが持てなくなったらどうするんだ!飛ばなくていい」
佳織「でも、その先生やる気満々だから。。。」
信一「やめとけ。簡単にとべる4段までにしとけ。エリートは4段までしか跳ばないらしいぞ」
佳織「父さん、めちゃくちゃなこと言うね(笑)」
ミスしないことの大切さ
佳織は、単純なミスを何度も繰り返していた。しかも同じようなパターンのミスばかり。
信一「佳織、これじゃ点数にならないよ。」
佳織「うん、気を付ける」
信一はダメだこりゃと思って、しっかりと話をした。
信一は語る
『佳織、世の中には絶対にミスが許されない仕事がある。新幹線はとまる駅をミスしたら大事だろ?だから毎回指をさして、ヨーシヨーシと確認している。お医者さんも、ミスをしたら人の命にかかわる。だから、そういう人たちはミスが許されないんだ。
ミスをしない人にしか、そういう大切な仕事は任されないんだ。桜蔭学園もそうだ。ミスをするような子は必要ないんだよ。でもね、人間どうやったって絶対にミスはある生き物なんだ。その人たちがなんでミスをしないか分かるか?
ミスを防ぐ方法をしっかり持っているんだ。大切なのはミスをしないように気を付けることじゃなくて、ミスを防ぐ方法を考えること。ミスを防ぐ練習をしっかり行うことなんだ』
ミスは気を付ければいいものじゃない。毎回ミスの原因をしっかり考えることで、ミスだから許してよという考えをなくすように意識的に取り組んだ。
第6章 受験前夜
画像引用元 http://photohito.com
受験の直前の章になります。信一は、6年生の1月の授業を全て先生に休ませてくれ、と申し出ます。また、佳織はというと桜蔭の入試の過去問が出来なくなってしまいます。
1月の授業を全部休む
それまでもずっとそうだったのですが、受験勉強にとって、学校の授業は本当に邪魔でしかありません。受験勉強は学校の授業とはかけ離れているので、まったく学校の授業など受験には役に立たないのです。
少しでも勉強する時間が惜しい・・・そう考えた信一は、ついに先生に受験が終わるまで、授業を全て休ませてほしいと申し出ます。
信一「すいません、本当に勝手なお願いではあるんですが1月の授業を全部休ませてもらえませんか?」
教師「はぁ・・・持病の蓄膿症が悪化したのですか?お大事になさってください」
信一は思いがけない言葉をきいて一瞬きょとんとするが、
信一「ありがとうございます・・・!」
佳織の持病の蓄膿症だと配慮してくれたことにとにかく感謝した。しかし教師には狂った父親に見えたに違いない・・・。
教師にはもはや中学受験の信仰に取りつかれたかわいそうな父親と思われているのだろう。信一はそんな愚かな父親で娘に本当に申し訳ないと思った。いつの間にか自分が夢を追いかけてないか?親は主役になってはいけない。主役は子供だ。親は黒子に徹しなければならないのだ。
桜蔭の過去問が全然出来ず泣き出す佳織
受験まであと1週間ほど。桜蔭の過去問の成績が伸びずに、佳織は苦しんだ。100点満点で、9月は26点、そこから36、50と伸びたが、50から伸びないのだ。
どんどん佳織は落ち込んでいった。そこで、信一は他校(桜蔭とそう偏差値は離れていない)の過去問を解かせることにした。すると解けるのだ。他校のテストならば、合格最低点を軽く上回り、確実に合格ラインの点数を取ることが出来た。
しかし、それが桜蔭となると一向にとけない。佳織はだんだん桜蔭の問題をやりたがらなくなり、「こっちがいい」と他校の問題を解こうとしてしまう状態だった。もはや桜蔭の過去問を解こうとしても体が拒否反応を示して、もうどうにも解けない状態になっていた。
信一「それじゃダメだ、佳織。まず桜蔭を出来るようにしてから他校の問題をやらないと」
佳織「無理だよ。桜蔭難しいもん。でもどこかには合格したいもん。今更公立なんて、絶対いけない。ここまで友達も作らずに、休み時間もずっと勉強して、1月も全部学校休んで・・・それで私立落ちて公立になったら、みんなに笑われるよ。学校行くの無理だよ。ここまで来たら、絶対に私立に行きたい。」
佳織は泣き出した。
信一は、佳織のそういう事情を全く考慮出来ていなかった。そりゃそうだ。これで落ちたら佳織もいい笑いものになるだろう。
信一「分かった。じゃあ、もし公立にいくことになったら、どこか遠くに引っ越そう。佳織が中学受験したなんて誰も知らない遠くへ」
佳織「え?仕事があるんじゃないの?」
信一「なあに、ちょうど転職しようと思っていたところさ」
しばらく、信一は佳織の思うように問題を解かせた。他校の過去問の点数はどんどん伸びていって、余裕で合格のレベルになっていった。信一はそろそろいいだろう、と桜蔭の過去問を出した。
信一はそれまで、桜蔭の合格最低点を高めに佳織に伝えていたが、実際はもうちょっと低いのだ。それで親子間に手ごたえの違いが出来ていたのがまずかったのだ。
信一「佳織、すまない。桜蔭の合格最低点は、思っていたよりずっと低かった。」
信一は、佳織の手の届きそうな点数を伝えた。そうすると、佳織の顔は一気に明るくなり、喜んで桜蔭の過去問を解きだした。
信一(俺はまた間違えてしまった・・・手の届くところから、点数を伝えてやるべきだったんだ・・・)
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受験勉強を終えた佳織の感想
画像引用元 http://news.livedoor.com/
佳織の顔つきはかなり変わった。受験勉強を始める前は惚けた顔つきで何となく日々をやり過ごすただのガキだったが、今はなんて凛々しい顔をしているんだろう。これなら、受験を戦える。
勉強を始めて辛い思いはたくさんしたが、それ以上に問題が解けて「よし」と言っている佳織がたくさん見れて本当に良かった。そして、これこそが子育てなんだと思った。佳織の「よし」といった時の嬉しそうな顔を見れて自分も本当にうれしかった。
受験前夜、夜の9時に勉強を終えた。
信一「これで、桜蔭学園に向けての受験勉強は終わりだ。本当にお疲れ様」
佳織「結構楽しかったね」
これが、1年5ヶ月の長い闘いを終えた佳織の感想だった。
第7章 最難関の本当の意味
画像引用元 http://www.chu-shigaku.com
佳織は、桜蔭中学校を受験しましたが、不合格になってしまいました。しかし、計算問題もままならなかった佳織が桜蔭中学校を受験するレベルにまでなった。
一生関わることのないはずだった、超エリートたちに無関係じゃないところまでたどり着いた。生まれて初めての挑戦をした。それが、佳織にとっては満足だった。
信一「ウサギとカメの話があるけど、やっぱりエリートたちは油断なんてしてくれないし、勝てないのかな」
佳織「私もちょっと甘く見ていた。他の受験生たちは、ウサギなんてレベルじゃなかった」
信一「でもあれ以上、頑張りようがないよな。俺たち、一生ウサギには勝てないのかな」
佳織はなんと、ウサギ、つまりエリートたちに、辿りつくと言ってのけたのだった。
その後
画像引用元 http://www.kobetsu.co.jp
佳織は現在中学二年生になっている。
偏差値70前後の中学校で、毎年多数の東大合格者と医学部医学科への進学者を出している学校だ。
妻は親塾を自慢げにかたり、受験に反対していた祖父母も優秀な娘を持って自慢しているそうだ。
保護者のレベルもがらりと変わった。この学校の歴史に恥を塗らないよう、親子ともども頑張らねばならない。
まとめ
いかがだったでしょうか?
かなり長文になりましたが、以上が下剋上受験のおおまかなストーリーになります。原作はやはり勉強について思ったこと、感じたことなどがメインでつづられていて、ドラマのような派手さはありませんね。
しかし、本当にイライラを止める薬やうつ病を止める薬を「柿ピーのように」ポリポリと飲みまくるってヤバイですよね。
この著者である桜井信一さんは、現在も薬を飲みすぎた後遺症から、減薬療法を行っているそうですよ。いかに壮絶な1年と5カ月だったかってことですよね。睡眠時間も毎日4時間ほど。ずっと眠たかったでしょうに。
しかし、本当にこの桜井信一さんて素晴らしい父親だと思います。娘のために、ここまで頑張れる・・・いや、娘のためということを抜きにしても、単純にここまで必死に努力が出来る人って憧れますよね。管理人も、かつては大学受験に失敗した身分なので気持ちが非常によく分かります。
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